はじめに
「自分に合った働き方がわからない」
「就労継続支援B型を考えているけれど、就労選択支援は必ず受けるの?」
「福岡市ではどこに相談すればいいの?」
2025年10月1日から始まった就労選択支援は、障がいのある方が自分に合った働き方や進路を考えるための新しい障害福祉サービスです。
福岡市でも制度案内が公開されており、特にB型の新規利用では原則として就労選択支援が必要と整理されています。ただし、すべての方に一律で必要というわけではなく、例外的な取扱いもあります。
この制度は、単に「A型かB型か」を振り分けるためのものではありません。就労アセスメントを通して、本人の希望、就労能力や適性、必要な配慮、働くうえでの課題などを整理し、より納得感のある進路選択につなげることが目的です。
このページでは、福岡市で制度の利用を考えている方に向けて、就労選択支援の基本、B型との関係、例外、利用料、工賃や給与の扱い、相談先までを詳しく整理します。
主な出典
- 福岡市「就労選択支援について」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/shisetsushien/health/syougaijiritusienhou/r071001.html - 福岡市「『就労選択支援』のご案内」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/shisetsushien/health/syougaijiritusienhou/documents/syurousentakushien.pdf - 厚生労働省「就労選択支援について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56733.html - 厚生労働省「就労選択支援の実施について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001571813.pdf - 厚生労働省「障害者の利用者負担」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html - 福岡市立障がい者就労支援センター
https://fkmachi.city.fukuoka.lg.jp/facilities/detail/3819af9a-91ff-406f-9903-1db98db4ad22
就労選択支援とは?
就労選択支援とは、障がいのある方が就労継続支援A型・B型、就労移行支援、一般就労などの進路を考える際に、自分に合った働き方を整理するための支援です。
福岡市は、この制度を、障がい者本人が就労先・働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援するサービスと説明しています。厚生労働省も同じ趣旨で案内しています。
ここで大切なのは、就労選択支援が「選別」や「振り分け」のための制度ではないということです。
本人の希望や強み、苦手さ、必要な配慮を整理し、本人が納得して進路を選びやすくするための仕組みであり、本人の意思決定を支えることが制度の中心にあります。
実際のアセスメントでは、たとえば次のような点が整理されます。
- どのような作業が得意か、不得意か
- 作業スピードや作業の正確さ
- 集中力や持続力
- 体調や生活リズムとの相性
- コミュニケーションや指示理解の特徴
- どのような配慮や支援があると力を発揮しやすいか
そのため、就労選択支援は「今すぐどこに通うか」を決める前に、自分に合う働き方の条件を整理するための支援と考えると理解しやすくなります。
出典
福岡市「就労選択支援について」
厚生労働省「就労選択支援について」
どんな人が利用するの?
福岡市の案内では、就労選択支援の対象者として、次のような方が示されています。
- 就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある方
- すでに就労移行支援または就労継続支援を利用している方
このうち、制度上とくに重要なのが、就労継続支援B型を新たに利用する場合の扱いです。
2025年10月以降、福岡市では、B型を新たに利用する意向がある方で、現行の就労アセスメント対象者は、原則として就労選択支援を利用すると案内されています。
さらに、今後の拡大予定として、
- 新たに就労継続支援A型を利用する意向がある方
- 就労移行支援の標準利用期間を超えて利用する意向がある方
についても、2027年4月以降は原則として就労選択支援を利用する方向性が示されています。
現時点で最も直接影響が大きいのはB型の新規利用ですが、今後はA型や就労移行支援の更新場面にも広がっていく見込みです。
出典
福岡市「就労選択支援について」
福岡市ではB型利用前に必ず必要?
ここは非常に大事なポイントです。
結論からいうと、「必ず全員に必要」と言い切るのではなく、「B型の新規利用では原則として必要。ただし例外がある」と理解するのが正確です。
福岡市の案内では、2025年10月以降、就労継続支援B型を新たに利用する意向がある方で、現行の就労アセスメント対象者は原則として就労選択支援を利用すると示されています。
この「原則として必要」という整理はとても重要です。
以前の制度運用では、地域差や運用差がありましたが、就労選択支援の制度化によって、B型利用前のアセスメントの考え方が全国的に整理されたという意味があります。
ただし、ここで誤解しやすいのは、B型を使いたい人が全員一律で必ず受けなければならないわけではないという点です。
制度上は、例外や希望利用の扱いが認められている人たちがいます。
出典
福岡市「就労選択支援について」
例外になるのはどんな場合?
例外になるのはどんな場合?
福岡市では、2025年10月以降に就労継続支援B型を新たに利用する意向がある方について、原則として就労選択支援の利用が必要と案内されています。
ただし、すべての方が一律に対象になるわけではありません。
福岡市のリーフレットでは、新たに就労継続支援B型の利用を検討している方のうち、次に該当する方は「原則就労選択支援の利用が必要」とされる対象から外れると整理されています。
- 50歳に達している方
- 障害基礎年金1級を受給している方
- 就労経験がある方
また、福岡市の「寄せられた市民の声」では、就労経験がある方について、より具体的に
「就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方」
という説明が示されています。
そのため、B型利用前の扱いは単純に「全員必須」ではなく、
原則として就労選択支援の利用が必要な方と、
50歳に達している方、障害基礎年金1級受給者、就労経験がある方など、希望に応じた利用となる方
に分かれていると理解するのが実態に近いです。
さらに、福岡市の市民向け回答では、近隣に就労選択支援事業所がない場合などには、例外的な取扱いが認められることにも触れられています。
そのため、B型利用前の扱いは「全員一律に必須」と考えるのではなく、原則として必要だが、一定の場合には例外があると理解するのが実態に近いでしょう。
出典
福岡市「就労選択支援について」
厚生労働省「就労選択支援の実施について」
就労選択支援の流れは?
福岡市のリーフレットでは、就労選択支援の流れとして、次の内容が示されています。
- 作業場面を活用した状況把握(アセスメント)
- 多機関連携によるケース会議
- 本人への情報提供
- アセスメント結果を踏まえた進路整理
短期間の生産活動や作業体験などを通して、就労に関する適性や意向を整理し、その結果を関係機関と共有しながら、今後の進路を検討していく流れです。
関わる機関としては、たとえば次のようなところが想定されます。
- 計画相談支援事業所
- 就労選択支援事業所
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A型事業所
- 就労継続支援B型事業所
- ハローワーク
- 企業等
つまり、就労選択支援は、事業所の中だけで完結する制度ではなく、本人を中心に複数の支援機関が関わって進路を整理する仕組みです。
この点は、一般的な事業所見学や体験利用とはかなり性格が違います。
出典
福岡市「『就労選択支援』のご案内」
福岡市「就労選択支援について」
利用期間はどのくらい?
就労選択支援は、長期間使い続けることを前提としたサービスではありません。
福岡市のリーフレットでは、短期間の生産活動等を通じて適性等を評価する支援として案内されています。
また、厚生労働省の実施通知では、支給決定期間は原則1か月とされています。
さらに、支援開始後に一定の例外事由が明らかになった場合に限って、一度のみ再度1か月の支給決定を行って差し支えないとされています。
通知では、たとえば、
- 自己理解に大きな課題があり、1か月以上の継続的な作業体験が必要な場合
- 集中力、体力、意欲、体調や精神面の安定などに課題があり、1か月以上の観察が必要な場合
などが例外事由として挙げられています。
制度の基本は1か月ですが、必要な場合には例外的に2か月までという運用もあり得ます。
そのため、支給決定期間は原則1か月であり、一定の例外事由がある場合に限って、再度1か月の支給決定が認められていると理解しておくのが正確です。
出典
福岡市「『就労選択支援』のご案内」
厚生労働省「就労選択支援の実施について」
工賃や給与は出るの?
ここは多くの方が気になるところです。
結論からいうと、就労選択支援は、A型のように雇用契約を結んで働くサービスではありません。
また、B型のように工賃を得ることを主な目的とした制度でもありません。
制度の中心にあるのは、あくまで就労アセスメントを通じて、本人の希望や適性、必要な配慮を整理することです。
福岡市のリーフレットでも、短期間の生産活動等を通じて適性等の評価や意向等を整理することが示されており、報酬を得ること自体が主目的とはされていません。
そのため、就労選択支援は、給料や工賃を得ることを主な目的とした場ではなく、自分に合った進路を決める前に、希望や適性、必要な配慮を整理するための支援です。
もちろん、実際の活動内容や日中の過ごし方は事業所ごとに違いがあり得ます。
ただ、制度の性格としては、賃金・工賃中心のサービスではないという点を押さえておくことが大切です。
出典
福岡市「就労選択支援について」
福岡市「『就労選択支援』のご案内」
厚生労働省「就労選択支援について」
利用料金はいくら?
就労選択支援は障害福祉サービスの一つなので、利用者負担は原則1割です。
ただし、実際には障害福祉サービス共通の月額上限があり、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。
厚生労働省の案内では、負担上限月額は次の4区分です。
- 生活保護受給世帯:0円
- 市町村民税非課税世帯(低所得):0円
- 一般1(市町村民税課税世帯・所得割16万円未満):9,300円
- 一般2(上記以外):37,200円
また、厚生労働省のページでは、
3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が低所得区分の対象
などの目安も示されています。
出典
厚生労働省「障害者の利用者負担」
体験利用との違いは?
事業所見学や体験利用は、一般に「この事業所に通うかどうか」を考えるためのものです。
それに対して、就労選択支援は、「自分に合った働き方や進路を整理するための支援」です。
福岡市のリーフレットでは、A型・B型・就労移行支援・一般就労などの選択肢を、アセスメント結果を踏まえて検討する流れが示されています。
つまり、体験利用が個別の事業所選びに近いのに対し、就労選択支援は進路全体の整理に近い性格を持っています。
制度を知らないと、「結局は見学や体験と同じではないか」と受け取られがちですが、実際には、
どこに通うかを決める前に、自分に合った働き方そのものを整理する
というところに就労選択支援の独自性があります。
出典
福岡市「『就労選択支援』のご案内」
福岡市独自の取り組みはある?
就労選択支援そのものは国の制度で、福岡市だけの別制度があるわけではありません。
ただし、福岡市は、制度案内ページ、リーフレット、事業者向け情報を公開しており、制度の入口が比較的見えやすい自治体です。
福岡市のページには、サービス概要、対象者、実施要件などが整理されており、福岡市独自の条例制度というよりは、国の制度を福岡市でどう運用するかを案内している形です。
そのため、就労選択支援は国の制度ですが、福岡市では制度案内、リーフレット、相談窓口の情報が公開されており、利用に向けた導線を確認しやすくなっています。
また、福岡市立障がい者就労支援センターの施設情報も公開されており、所在地は福岡市中央区舞鶴1-4-13 福岡市舞鶴庁舎4階、電話番号は092-711-0833、利用可能時間は月曜日~土曜日の午前9時00分~午後6時00分と案内されています。
福岡市で「働くこと」に関する相談先を探すときは、こうした地域資源も重要です。
出典
福岡市「就労選択支援について」
福岡市立障がい者就労支援センター
福岡市でまず相談するならどこ?
福岡市で就労選択支援や障害福祉サービスの利用を考える場合、まず候補になるのは次の窓口です。
1. 区役所などの障害福祉窓口
制度利用の入口として基本になるのは、市区町村の障害福祉窓口です。
支給決定や利用手続きの入口になるため、まず制度全体の確認をしたいときに向いています。
2. 計画相談支援事業所
就労選択支援は、本人だけでなく、計画相談支援事業所など関係機関と連携しながら進む制度です。
進路全体をどう整理するかを一緒に考える役割が期待されます。
3. 福岡市立障がい者就労支援センター
「制度の手続き」だけでなく、働くことそのものについて相談したい場合に向いています。
就労相談、職場定着、企業や関係機関への支援なども行っています。
4. ハローワーク等
一般就労や求人、職業相談に関心がある場合は、ハローワーク等の関係機関との連携も重要になります。
福岡市のリーフレットでも、ハローワーク等との連携が明示されています。
つまり、
制度の入口は福祉窓口、
進路全体の整理は相談支援、
働くことの実務的な相談は就労支援センターやハローワーク
と整理するとわかりやすいです。
出典
福岡市「就労選択支援について」
福岡市「『就労選択支援』のご案内」
福岡市立障がい者就労支援センター
まとめ
就労選択支援は、2025年10月1日から始まった新しい障害福祉サービスです。
本人の希望や適性、必要な配慮を整理しながら、A型・B型・就労移行支援・一般就労などの中から、自分に合った働き方を選びやすくすることが目的です。
福岡市で制度の利用を考える場合は、次の点を押さえておくと実務的です。
- B型の新規利用では原則として就労選択支援が必要
- ただし、障害基礎年金1級受給者や就労経験がある方など、希望利用の扱いになる場合がある
- 利用期間は原則1か月で、例外がある場合に限り再度1か月の支給決定が可能
- 利用者負担は原則1割だが、実際には4区分の月額上限がある
- A型の給料やB型の工賃を得ることが中心の制度ではない
- 福岡市では、福祉窓口、相談支援、就労支援センターなどを使い分けて相談できる
制度の内容を理解するうえでは、原則と例外、制度の目的、工賃や給与の扱い、利用料の区分を分けて確認することが大切です。これらを整理しておくことで、就労選択支援がどのような制度なのかをより正確に捉えやすくなります。
