ADHDの特性である不注意、多動性、衝動性は、仕事でのミスや人間関係の悪化につながりやすく、本人が「頑張っているのにうまくいかない」という辛さを抱える原因となります。
この「うまくいかない経験」や「周囲からの否定的な言葉」が積み重なると、本来のADHDとは異なる、別の精神的な問題を併発することがあります。これが「二次障害」です。
二次障害は、安定した生活を大きく妨げる要因となるため、その存在を知り、早期に対処することが非常に重要です。
ADHDの二次障害とその影響
なぜ二次障害が起こるのか?
ADHDの特性そのものが直接の原因ではなく、特性による「失敗体験の繰り返し」によって自己肯定感を低下させてしまうことが、二次障害の主な引き金となります。
「集中力が続かず納期に遅れた」「衝動的な発言で人間関係がこじれた」といった経験を重ねるうちに、「自分は能力が低い」「何をやってもだめだ」と感じ、慢性的なストレスや不安、抑うつ状態へとつながってしまうのです。
二次障害と仕事への影響
ADHDの方が特に抱えやすい、代表的な二次障害とそれが仕事に与える影響を見てみましょう。
| 二次障害 | メカニズム | 仕事への影響 |
| うつ病・適応障害 | 失敗や叱責で自信を失い、「自分は何をやってもだめ」と感じてしまう。慢性的なストレスが限界を超えて発症。 | 気分の落ち込み、意欲の低下、集中力の著しい低下。出勤や業務開始が困難になる。 |
| 不安障害・パニック障害 | スケジュール管理やタスク処理の困難からくる「またミスするのではないか」という強いプレッシャーや、職場での孤立感から緊張感が増大する。 | 過度な心配による業務の停滞、動悸や息苦しさによる業務の中断、通勤困難。 |
| 睡眠障害(不眠症など) | 昼間の不安や失敗体験を夜間に考えてしまうことや、衝動性の影響で生活リズムが乱れる。 | 睡眠不足による日中の集中力・注意力の悪化。体調不良、遅刻や欠勤の増加。 |
見逃せない「気づきのサイン」
以下のようなサインが続く場合は、二次障害の初期段階かもしれません。我慢せずに、専門家への相談を検討してください。
- 以前よりミスが急激に増え、落ち込みやすくなった
- 急に仕事に行くのが辛くなり、身体的な不調(頭痛、胃痛など)が続く
- 些細なことでも過度に心配し、不安が拭えない
まとめ
二次障害は、早期に適切な対処をすることで症状の悪化を防ぎ、回復を目指すことが可能です。「おかしいな?」「辛いな」と感じたら、まずは医療機関(精神科、心療内科)や専門の相談窓口にご相談ください。
当事業所では、二次障害の予防や回復後の安定就労のために、自身のADHD特性や二次障害に繋がりやすい「苦手な状況」を正しく理解し、ストレスマネジメントができるようにサポートします。
ADHDの二次障害は、決して「本人の努力不足」で起こるものではありません。特性による困難に直面し続けた結果、心が疲弊してしまったサインです。
しかし、適切なサポートと環境調整があれば、十分に症状をコントロールし、安定した就労を目指すことができます。
もし今、二次障害で苦しんでいたり、就労に困難を感じていたりしても、一人で抱え込まないでください。
つなぐでは、あなたの「働きたい」という思いを応援し、その一歩を共に踏み出す準備ができています。
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