前回は「障害者雇用制度」についてご紹介しました。
今回はその中でも、特に中心となるルールの一つ、 「障害者雇用率制度」 についてご説明します。
障害者雇用率制度とは?
障害のある方にも働くチャンスをしっかり確保するために、国は企業や自治体などに「障害のある方を何人雇うか」という割合(=雇用率)を決めています。
この決まりが「障害者雇用率制度」です。
たとえば現在は、民間企業に対して「常用労働者のうち2.3%以上を障害者にすること」が義務づけられています(2025年時点の例)。
つまり、従業員が100人いれば、少なくとも2〜3人は障害のある方を雇う必要があるということです。
なぜ雇用率が決められているの?
障害のある方の多くが、働く意欲を持ちながらも就職の機会に恵まれないという現実があります。
そのため、雇用率という数値目標を設けて、企業や自治体に障害者雇用を「当たり前」にしてもらうことが、この制度の目的です。
企業にはどんな義務があるの?
・常用労働者が50人以上の企業は、障害者雇用率を満たす義務があります。
・この義務を果たさない場合、行政から指導や報告の提出を求められることもあります。
・一方で、雇用率を達成・超過した企業には、助成金の支給などのメリットもあります。
雇用率の対象になるのは?
雇用率の算定には、以下のような方が含まれます:
- 身体障害のある方
- 知的障害のある方
- 精神障害のある方(発達障害を含む)
短時間勤務の方も一定の条件を満たせばカウントされます。
制度を知ることは、未来を考える第一歩
この制度は「働きたい」という思いを社会全体で支えるためのルールです。
働く人も雇う人も、制度の内容を正しく理解することで、よりよい職場づくりやサポートにつながります。
次回は、障害者雇用に関するもう一つの仕組み「特例子会社制度」についてご紹介します。
引き続き、働く選択肢を広げる制度について、一緒に見ていきましょう。

