障がいの定義とは?―法律や条約から考える

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「障がい」と聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか?
多くの人は体の不自由さや病気のことをイメージするかもしれません。
でも、実際には「障がい」とは、法律や国際的な条約の中でも、目的や場面に応じて少しずつ定義が違います。
ここでは代表的な条約や法律をもとに、わかりやすく整理してみましょう。


国際的な視点:障害者権利条約

202006年に国連で採択された「障害者権利条約」では、障がいを次のように考えています。

長期的な身体的、精神的、知的または感覚的な機能の障がいがあり、
社会にあるさまざまな障壁(バリア)との関係で、社会での活動や参加が妨げられる人。

ここでのポイントは、障がいを「本人の状態だけで決めない」という点です。
例えば車いすを使う人は、段差のある建物では自由に移動できません。
この場合、障がいは「段差」という社会のバリアと本人の状態の両方で生まれると考えます。
つまり、障がいは本人だけでなく、社会の環境や仕組みとの関係で起きるものでもあるのです。


日本の法律における定義

1. 障害者基本法

日本で障がい施策の基本となる法律です。
ここでは「障害者」とは、

身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)や、その他心身の機能に障がいがあり、
日常生活や社会生活で継続的に制限を受ける状態にある人

とされています。

ポイントは、障がいがあることで生活や社会での活動に制限がある状態が重視されていることです。


2. 障害者差別解消法

障がいを理由とする差別をなくすための法律です。
ここでの定義も基本法とほぼ同じで、

身体的・知的・精神的な機能の障がいがあり、
日常生活や社会生活に継続的な制限がある状態

とされています。

つまり、障がいそのものだけでなく、社会や環境との関係で起こる制限も含めて考えています。


3. 障害者雇用促進法

こちらは働く場面に特化した法律です。
「障がい者」とは、

身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者で、
仕事をする上で大きな制限がある人、または就職が非常に困難な人

と定義されています。

働く場面に焦点をあてているため、生活全般というよりは職業生活での困難さが重視されています。


まとめ

  • 国際条約では、障がいは本人の状態 × 社会のバリアで生じると考える。
  • 日本の基本法や差別解消法では、心身の機能障がいがあり、生活や社会参加に制限がある状態と定義。
  • 雇用促進法では、働くことの制限に着目した定義になっている。

最後に

「障がい」は一人ひとりの状態だけで決まるものではなく、社会や環境との関わりの中で見えてくるものです。
私たちが普段「障がい」と聞いて思い浮かべるイメージも、法律や社会の仕組みで少しずつ変わることがあります。
だからこそ、障がいを正しく理解することは、誰もが暮らしやすい社会づくりにつながる大切な一歩なのです。

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