この文章は、私自身の経験に基づいた個人的な見解です。
自分らしい生き方を見つけるために─双極症とともに生きていくということ─
双極症の現実
双極症は、気分障害の中でも最も自死率が高い病気のひとつと言われています。ある研究では、双極症の方の生涯自死率は、一般の10〜30倍ともされており、多くの人が一度は自死を考えた経験があるというデータもあります。また、仕事や人間関係、身体の健康など、日常生活のさまざまな面で「生活の質(QOL)」が大きく損なわれる傾向があるとも言われています。
私も診断された当初、この数字を知って大きなショックを受けました。でも同時に、「何もしなければ、この数字は自分にも起こりうる現実だ」と危機感を持つことができました。このブログは、誰かを怖がらせるために書いているわけではありません。現実から目をそらさず、だからこそ、「適切な治療とケアを続けることが、どれほど大切か」を伝えたいのです。
「病気は自分のせいじゃない」
診断を受けた時、私自身「なぜ私が?」「もっと強ければ…」と、過去を責めてばかりいました。あの時、あんな選択をしなければ…育ち方が違っていたら…と、原因探しに時間を使い、自分をどんどん追い詰めていたのです。でも、後に知ったのは、双極症は脳の機能に起因する“身体の病気”だということ。性格の弱さや、育った環境のせいではありません。
この事実に気づいてから、私はようやく自分を責めることをやめられるようになりました。「これは私のせいじゃない」──そう思えたことが、治療のスタートラインでした。
波に飲まれず、波とともに生きる
以前の私は、うつ状態でも「動かなきゃ」と無理をしてしまい、かえって病状を悪化させていました。今は、「うつの時は、割り切ってしっかり休む」。この考え方を大切にしています。体がしんどい時に休むのと同じように、こころが疲れた時も、回復のために静かに休む時間が必要なんですよね。
そして、気分が安定している時は、思いきり人生を楽しむ。旅行や創作活動、人との時間、自分へのご褒美……。できることを、できるときに。その積み重ねが、生きる力になってくれています。
支えてくれた家族や友人、職場の仲間たちには、感謝してもしきれません。今は、「誰かを助けられる側に立ちたい」という気持ちが、少しずつ芽生えてきました。双極症の波をひとりで乗り越えることは難しい。だからこそ、助けてもらうこと・誰かを助けること、その循環の中に、自分らしい生き方のヒントがあるように思うのです。
規則正しい生活が、こころの波を整える
薬の服用と並んで、私がとても大切にしているのが「生活リズムを整えること」です。これは「社会リズム療法」と呼ばれ、双極症の治療にも取り入れられている方法のひとつです。
とくに意識しているのは、次の2つ。
- 睡眠をしっかり確保する(最低7〜8時間)
- 睡眠不足は、気分の波を大きくさせる大きな要因になります。
- 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
- 寝る時間にもアラームをかけて「そろそろ寝よう」と意識するようにしています。
眠れない夜はつらいですよね。私も、焦って余計に眠れなくなったことが何度もありました。そんなときは、「眠れない自分を責めず、いったんベッドを出て気分を切り替える」。本を読んだり、温かいミルクを飲んだりして過ごすうちに、自然と眠気が戻ってくることもあります。生活リズムを整えることは、小さなことのようで、心の波を穏やかに保つための大きな助けになります。全部を完璧にこなす必要はありません。できることから、少しずつでいいのです。
最後に:あなたは一人じゃない
双極症は、私たちの人生を終わらせる病気ではありません。このブログで私は、以下のようなことをお話ししてきました。
- 「病気は自分のせいじゃない」と知ること
- 気分の波を記録し、客観的に向き合うこと
- 信頼できる人に助けを求める勇気
- 自分に合った働き方を選ぶこと
- 規則正しい生活の積み重ねが、こころの安定につながること
苦しい時、つい「もう無理だ」と感じることもあるかもしれません。でも、そんな時こそ、自分を責めず、しっかり休んでほしい。そして、調子が良くなったら、自分のペースで、また歩き出してみてください。人生は「立ち止まってもいい」「回り道してもいい」旅なのだと思います。
私たちは決して一人じゃありません。このブログが、読んでくださった方の明日への小さな希望の光になれたら、心から嬉しく思います。

