ASDの特性を持つ方の中には、非常に真面目で何事も完璧にこなそうと努力する方が多くいます。これは素晴らしいことであるように感じますが、時には「完璧主義」として本人を苦しめる原因にもなり得ます。
「これでは不完全だ」「もっと良いものができるはず」と、自分自身に高い基準を課し続けることで、作業が進まなくなったり、過度なストレスを感じてしまったりすることも少なくありません。
完璧主義がもたらす影響
ASDの方の完璧主義は、以下のような形で現れることがあります。
作業が完了しない
完璧を求めすぎるあまり、いつまでも最終的なアウトプットが出せず、作業が停滞してしまいます。
過剰な時間の消費
細部へのこだわりが強すぎて、一つのタスクに必要以上の時間を費やしてしまい、他の作業に手が回らなくなります。
燃え尽き症候群
常に100%の力を出し続けようとすることで、心身ともに疲弊し、結果的に何もできなくなってしまうことがあります。
他者との摩擦
自分の完璧な基準を周囲にも求めてしまい、チームでの作業が難しくなることがあります。
完璧主義を味方にするための対策
完璧主義は、決して悪いことばかりではありません。そのエネルギーをうまくコントロールすることで、大きな強みになります。
「ほどほど」を意識する
「100点じゃなくてもOK」という考え方を取り入れてみましょう。完璧を目指すのではなく、まずは「完了」させることを目標にします。
時間制限を設ける
「この作業は〇分で終わらせる」と事前に時間を決めることで、無限に時間をかけることを防ぎます。タイマーを使うのも効果的です。
タスクを細分化する
大きなタスクを小さなステップに分け、一つずつ確実にクリアしていくことで、全体像を把握しやすくなります。
フィードバックを活用する
作業の途中で、信頼できる人にこれで大丈夫なのかどうかを確認してもらいましょう。他者の視点を取り入れることで、自分一人では気づかない「完了」の基準が見つかることがあります。
完璧でない自分を許す練習をする
完璧にできない自分を受け入れるのは難しいことかもしれませんが、不完全な自分も価値があるということを知ることが大切です。
まとめ
ASDの完璧主義は、時に困難をもたらすかもしれませんが、それは同時に仕事への真摯な姿勢や質の高い成果を生み出す可能性を秘めています。
完璧主義と上手に付き合うには、自分自身の特性を理解し、無理のない範囲で少しずつ「ほどほど」の感覚を掴んでいくことが重要です。あなたらしいペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

