この文章は、私自身の経験に基づいた個人的な見解です。
私は長い間、自分のことを「うつ病だ」と思い込んでいました。
今から思えば、中学生の頃から不眠症があり、ひどく落ち込む時期が定期的に訪れていました。大学に入って不眠がさらに悪化したため、初めて心療内科を受診。そこで医師から「うつ」と診断され、抗うつ薬と睡眠導入剤を処方されました。長年の不調に病名がついたことで、どこか納得したのを覚えています。
抗うつ薬を服用するようになって、うつの症状は少しずつ和らいでいきました。しかし、その一方で、時折、気分がやけに高揚する時期が増えてきたのです。自分でもコントロールが効かなくなるほど衝動的な浪費をしてしまったり、いつもなら気にしないようなことでイライラしたり……。私は「うつが良くなってきた証拠かな」と安易に考えていましたが、この「テンションが高くなる時期」こそが、のちに双極症と診断される重要なサインだったのです。
私は「うつが良くなってきた」と安易に考えていましたが、その後の診察で、医師から「双極症」と告げられました。
診断を受けた当初はショックの方が大きかったです。家族が双極症1型で、ひどい躁状態をずっと間近で見てきたからです。自分もいつか、ああなってしまうのではないか――その恐怖が、診断名を受け入れられない一番の理由でした。
納得がいかず、セカンドオピニオンも受けました。しかし、結果は同じ。「双極症」という診断でした。
「なぜ、こんなにひどい躁状態に苦しむ家族と同じ病気なんだろう?」
家族の姿と自分を重ね合わせ、どうしようもない不安に襲われました。
それでも、医師との対話を重ねる中で、「双極症にはさまざまなタイプがあること」「1型と2型では、症状の出方や程度が違うこと」を少しずつ理解できるようになりました。
診断名がはっきりしたことは、私にとって大きな転機でした。それは治療法が変わったというだけではありません。自分自身に対する見方、そして他人との関係性も大きく変わっていったのです。
躁状態よりも、どちらかというと混合状態のイライラや攻撃性の方が、自分でも困っていました。感情の波が内側で暴れ回るような感覚で、家族や親しい人に対しても、つい攻撃的な言葉をぶつけてしまうことがありました。
診断を受けてからは、それが病気の症状だと理解できるようになり、イライラを感じたときに「これは病気の影響かもしれない」と冷静に考える一歩を踏み出せるようになりました。
自分の行動が病気のサインだとわかったことで、医師と協力して治療に真剣に向き合う覚悟ができました。そして、自分の波のパターンを知り、無理に抗うのではなく、その波を乗りこなすように生きていこうと、前向きに考えられるようになったのです。
最後に
診断名が「双極症」に変わることは、私にとって人生の終わりではありませんでした。それは、これまでバラバラだった自分のピースが一つにつながり、新しい自分と出会うための、大切なスタートラインだったのです。
自分の行動や感情が病気のサインだと理解できたことで、私はようやく自分を責めることをやめられました。そして、イライラや衝動的な行動に襲われたときも、「これは病気の影響かもしれない」と、一歩引いて冷静に考えることができるようになりました。
適切な治療とケアを続けることで、気分は少しずつ安定しています。今、この文章を読んでくださっている方の中にも、過去の自分のように、診断名にショックを受けたり、病気を受け入れられなかったりする方がいるかもしれません。
でも、どうか忘れないでください。
病気はあなたのせいではありません。
診断は、あなたらしい生き方を見つけるための第一歩なのです。
あなたは決して一人ではありません。私も含め、同じように病気と向き合い、自分らしい人生を歩んでいる仲間がいます。
私の経験が、あなたの明日への小さな希望の光になることを願っています。

