※この記事は、私自身の経験に基づく個人的な見解です。
双極症と診断されると、「治療」という長い道のりが始まります。平坦な道ではなく、時にはつまずくこともありますが、私はこの道を、自分らしく生きるために欠かせない大切な時間だと感じています。
この記事では、私が実際に経験してきた治療法や、その過程で気づいたことを、お伝えします。
薬物療法 ― 治療の土台と向き合う
双極症の治療では、薬物療法が中心になります。薬はすぐに効くわけではなく、副作用に悩むこともあります。私も日中の強い眠気や体重の変化に悩まされたことがありました。
それでも、医師と相談しながら少しずつ調整していくことで、自分に合った薬に出会えると信じています。私の場合は、気分の波を整える気分安定薬や、特に躁状態が強いときに使う非定型抗精神病薬、うつ状態の改善に使う抗うつ薬、そして眠れない夜を助けてくれる睡眠導入剤などを組み合わせながら治療を続けました。
大切なのは、焦らず、二人三脚で取り組むことです。
薬の服用
毎日薬を飲み続けるのは、思った以上に大変でした。飲み忘れると症状がぶり返すこともあるので、私はいくつか工夫をしています。
まず、薬局でお願いして、複数の薬を朝・昼・夕のタイミングごとに一包化してもらいました。これで、一目でその日の服用状況がわかり、飲み忘れがぐっと減りました。
さらに、訪問看護師さんにも協力してもらい、定期的に服薬の確認やアドバイスを受けています。自分では気づかない習慣の乱れも指摘してもらえるので、とても助かります。
こうして、周囲のサポートを受けながら、無理なく続けられる方法を見つけることが、治療を続ける上で何より大切だと感じています。
自分を客観的に理解する
治療は、薬を飲むだけではありません。自分自身を理解することも、とても大切です。私は毎日、気分や睡眠を記録するようにしています。
たとえば、気分を1~5の段階で記録したり、眠れた時間や起床時間をスマートウォッチで測ったりして診察時に主治医の先生に見せるようにしています。
こうした記録を振り返ると、「この状況だと気分が不安定になりやすい」という傾向が見えてきます。医師に見せると薬の調整にも役立ちますし、自分でも波を未然に防ぐ工夫ができるようになりました。
私の治療体験から
診断された日の気持ち
長年、「うつ病」と診断されてもなかなか良くならず、気分が急に高まる自分にずっと戸惑っていました。そんな時、双極症という診断が下されました。
その瞬間、私の心には二つの感情が湧きました。一つは、長年の疑問がようやく解け、自分の病気が分かったことへの安堵。もう一つは、これまで受けてきた治療は本当に適切だったのかという怒りです。
それでも、この診断が正しい治療への第一歩だと信じ、前向きに進む決意ができました。
医師との関係を築くこと
私はこれまでに何度か転院を経験しました。そのたびに新しい医師と出会い、新しい関係を築いてきました。
私の場合は引っ越しで数回、病院を変えましたし、今かかっている大学病院では転勤で定期的に主治医が交代するので、たくさんの先生に診てもらいました。私は医師はカウンセラーではなく、お薬を処方して体調面を管理してくれる専門家とわりきってお付き合いしています。診察の際は言いたいことはアプリでまとめて報告しているので、診察時間も比較的短く、どの医師とも比較的良好な関係を築いていると思います。
治療は医師との二人三脚です。良い関係を築くことで、孤独にならず、安心して取り組むことができます。
最後に:治療のその先へ
双極症は完治が難しい病気です。だからこそ、私は治療のゴールを「完治」ではなく、「病気と共に生きること」に置くことにしました。
診断された時は、戸惑い、怒り、そして安堵と、複雑な感情が入り混じっていました。それでも、治療を続けるうちに、病気を敵と捉えるのではなく、自分の一部として受け入れることができるようになってきました。
双極症の治療は決して楽な道ではありません。しかし、日々の服薬や記録、医師との二人三脚、そして支えてくれる家族や訪問看護師さんたちの存在が、私に「一人ではない」という安心感を与えてくれました。
双極症の治療は、自分を深く知り、自分を大切にするための時間だと思います。この記事が、双極症と診断され、戸惑いを感じている誰かにとって、少しでも前向きな気持ちになれるきっかけとなれば幸いです。自分のペースで前に進んでいきましょう。
