発達障害(特にASD)のある方の中には、五感(聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚)の感覚がとても鋭く、日常生活や就労場面で困難を感じることがあります。今回は、それぞれの感覚過敏が仕事にどう影響するか、そしてどう向き合えばいいのかをご紹介します。
聴覚過敏
聴覚過敏は、特定の音や小さな音が非常に大きく、不快に聞こえる特性です。多くの人が聞き流せるような生活音(キーボードのタイピング音、電話の着信音、エアコンの稼働音)が、ASDの方にとっては耐え難い騒音に感じられることがあります。
就労場面での影響
- 周囲の会話や電話の音が気になり、自分の業務に集中できない。
- 会議中に複数の声が重なると、話の内容が理解しにくくなる。
- 突然の大きな音に驚き、パニックになることがある。
対処法
- ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンや耳栓を使用する。
- 個室やパーテーションで仕切られた席を希望する。
- 休憩時間に静かな場所で過ごし、感覚を休ませる。
視覚過敏
視覚過敏は、光の強さ、物の色、形の変化などに対して強い不快感や疲労を感じる特性です。蛍光灯のちらつき、PCモニターの光、細かな文字の羅列などが、視覚的なストレスとなります。
就労場面での影響
- オフィス照明がまぶしく、頭痛や眼精疲労を引き起こす。
- パソコンの画面を長時間見続けるのがつらく、作業効率が下がる。
- 多数の情報が一度に目に入ると、どこに集中していいかわからなくなる。
対処法
- ブルーライトカット眼鏡やサングラスを着用する。
- デスクの位置を窓から離したり、照明を調整したりする。
- タスクごとに集中できる環境(色味を抑えたデスク周りなど)を整える。
嗅覚過敏
嗅覚過敏は、特定のにおいに非常に敏感になり、強い不快感を感じる特性です。他人の香水、食べ物のにおい、洗剤のにおいなどが、吐き気や頭痛の原因になることがあります。
就労場面での影響
- 同僚の香水や整髪料のにおいで気分が悪くなり、業務に支障が出る。
- 休憩室で食べるもののにおいが気になり、食事がとれない。
- 新しいオフィス家具や建材のにおいで体調を崩すことがある。
対処法
- 事前に職場のにおいをチェックし、相談しておく。
- マスクを着用してにおいを和らげる。
- 無香料の製品を職場内で使用してもらうよう配慮を求める。
味覚過敏
味覚過敏は、特定の味や食感に強い抵抗感を持つ特性です。極端に好き嫌いが分かれることが多く、偏食につながることがあります。
就労場面での影響
- 職場の飲み会や会食で食べられるものが少なく、苦痛を感じる。
- 会社の食堂やランチの時間がストレスになる。
- 偏食により、栄養バランスが偏り体調を崩しやすい。
対処法
- 職場のランチは無理せず、自分の食べられるものを持参する。
- 会食の際は事前に店を選んだり、食べられるものを確認したりする。
- 偏食について、無理のない範囲で周囲に理解を求める。
触覚過敏
触覚過敏は、特定の素材や感触に強い不快感を持つ特性です。衣服のタグが肌に触れるだけで耐えられなかったり、特定の物の手触りに強い嫌悪感を抱いたりします。
就労場面での影響
- 制服やスーツの素材、タグが気になり、仕事に集中できない。
- 書類や物の感触が不快で、作業が滞る。
- 人との偶発的な接触に強いストレスを感じる。
対処法
- 肌に優しい素材のインナーを着用する、タグは切るなどの工夫をする。
- 職場の服装規定内で、自分が着やすい素材の服を選ぶ。
- 周囲に理解を求め、パーソナルスペースを確保する。
感覚過敏と向き合うための就労支援
感覚過敏は脳の特性によって引き起こされる、本人にとって非常に切実な困りごとです。
当事業所では、皆さんの感覚過敏の特性を丁寧にヒアリングし、「自分に合った働き方」 を一緒に探していきます。
感覚過敏は工夫次第で、働きやすい環境をつくることができます。一人で抱え込まず、ぜひ私たちに相談してくださいね。
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