はじめに
「まごころ製品」をご存知ですか?
福岡県では、障がいのある皆さんがつくる商品や提供するサービスを「まごころ製品」と名付け、販売しています。福祉製品を超え、障がい者の自立支援や社会参加を後押しする新しい取り組みとして注目されています。販売を通じて得られた売上の一部は、障がいのある皆さんの収入に充てられ、自立した生活を送る上で役立てられます。福岡の豊かな恵みを活かした食品やお酒、陶器、衣類、家具など、様々な商品を提供しています。この記事では、福岡県の「まごころ製品」の取り組み、全国の類似事例、企業による支援メリットまで幅広く紹介します。
福岡県障がい者福祉計画(第6期)・福岡県障がい児福祉計画(第3期)第2章 [PDFファイル/3.54MB]
まごころ製品が生まれる場所
まごころ製品は、就労継続支援事業所などの障がい者就労施設で作られます。一般企業での就労が難しい方々が、それぞれの能力やペースに合わせて働きます。
主な作業内容
- パンやお菓子の製造
- 雑貨や工芸品の制作
- 印刷物などの軽作業
こうした活動を通じて、社会とのつながりを持ち、賃金を得ることで経済的自立を目指しています。
福岡県の取り組みと工賃向上
福岡県では「まごころ製品」の販路拡大やブランド化を推進し、障がい者の平均工賃向上に取り組んでいます。
調達実績の推移
この数字は、福岡県が「まごころ製品」を積極的に調達してきた成果を示しています。年々、行政や公共団体による調達額は右肩上がりに増加しており、働く障がいのある方々の収入向上に直接つながっていることがわかります。
2023年度(令和5年度): 約2.9億円
2022年度(令和4年度): 約2.6億円
2021年度(令和3年度): 約2.5億円
2020年度(令和2年度): 約1.8億円
2019年度(令和元年度): 約1.2億円
福岡市の事例:ブランド化と地域連携
- féerie(フェーリ)
- 市民福祉プラザ内の売店で、障がい者施設の製品を販売。地域の拠点として活躍。
- たいせつプロダクト
- 障がい者のアートを活かしたファッションアイテムを開発・販売。2019年頃から活動。
これらの取り組みは県の「まごころ製品」プロジェクトと連携し、地域密着型の自立支援やブランド化を進めています。
全国で広がる福祉×アートの挑戦
福岡だけでなく全国でも、障がい者のアートを活かした高付加価値のブランドが登場しています。
- HERALBONY(岩手県)
- 知的障がい者のアートをネクタイ・バッグ・インテリアに展開
- 「福祉製品」のイメージを払拭し、作品の魅力で選ばれるブランドを確立
- KURUMIRU(東京都)
- 都内の障がい者自主製品を実店舗・オンラインで販売
- 多様な製品の魅力を広く発信
- フェリシモ「C.C.P.」
- 企業連携で福祉製品の企画・開発をサポート
- 商品価値と社会貢献を両立
KURUMIRU 自主製品魅力発信プロジェクト | 東京都福祉局
福岡県と全国事例の比較
| 項目 | 福岡県「まごころ製品」 | 全国事例(HERALBONYなど) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 障がい者就労施設全般 | 知的障がいアーティストの作品 |
| アプローチ | 調達推進・ブランド化 | アート特化のブランド展開 |
| 強み | 行政主導の包括支援 | デザイン性・ブランド力 |
| 目指すもの | 工賃向上、社会参加 | 社会イメージ変革、経済的自立 |
福岡は地域密着型・包括的支援、全国事例はアート特化型。それぞれ特色を生かして障がい者支援を進めています。
企業が支援するメリット
「まごころ製品」の購入や、障がい者就労施設への業務委託は、企業にとっても多くのメリットをもたらします。これは単なる社会貢献活動にとどまらない、戦略的な意義を持つものです。
- CSR活動の推進
- 障がい者支援は企業の社会的責任を果たす活動として評価されます。
- 従業員エンゲージメント向上
- 社会貢献を実感でき、誇りやモチベーション向上に。
- 新しい顧客層の開拓
- エシカル消費や社会的価値に敏感な層にアプローチ可能。
- ダイバーシティ推進
- 障がい者支援を通して、多様性と包摂性のある企業文化を醸成。
まとめ:消費行動が未来を変える
「まごころ製品」や全国の類似取り組みは、福祉の新しい形を示しています。日常の購入や利用という行動が、障がい者の収入向上や社会意識の変革につながります。 次に何かを購入する際は、ぜひ福岡県の「まごころ製品」や地域の授産品に目を向けてみてください。あなたの選択が、誰かの未来を拓く一歩になります。

