エシカル消費とは?障害者福祉施設との関係

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最近、「エシカル消費」という言葉を耳にすることが増えてきました。これは一時的な流行ではなく、私たち一人ひとりの消費行動が、社会や環境にどんな影響を与えているかを考え、より良い選択をしようという動きです。

中でも注目されているのが、障害のある人たちが働く福祉施設で作られた製品やサービスを選ぶという選択肢です。

この記事では、エシカル消費が障害者支援にどのような可能性をもたらすのか、具体的な事例を交えながらご紹介します。


エシカル消費とは?

「誰かの幸せ」につながる買い物のこと

「エシカル(ethical)」とは、「倫理的」「道徳的」という意味を持つ言葉です。
つまり、エシカル消費とは、価格や見た目だけでなく、製品の背景にある人や社会、環境への配慮を意識した消費行動のことを指します。

たとえば、次のような行動はすべてエシカル消費にあたります。

  • フェアトレード商品を選ぶ(開発途上国の生産者を支援)
  • 地産地消を心がける(地域経済の活性化)
  • リサイクル素材の商品を選ぶ(環境負荷の軽減)

そして近年では、福祉施設でつくられた製品を選ぶことも、身近なエシカル消費の一つとして注目されています。


エシカル消費の事例:「まごころ製品」とは?

障害者支援とエシカル消費のつながり

全国の障害者就労支援施設では、利用者の方々が心を込めて手作りした製品(授産製品)を販売しています。これらは地域によって「まごころ製品」(福岡県)や「ハートフル商品」と呼ばれ、徐々に知られるようになってきました。福岡県のまごころ製品については過去記事で詳しくご紹介していますので、ご参照ください。

こうした製品を購入することは、単なる慈善活動ではありません。さまざまな意義があります。

【過去記事】【福岡発】まごころ製品とは?障がい者支援と地域活性化の最前線

▶ 経済的な自立を支援

製品の売上は、施設で働く方々の工賃(給料)に直結します。売れることで、工賃が上がり、生活の質が向上します。

▶ 社会とのつながりを実感

「美味しい!」「かわいい!」といったお客様の声は、作り手の自信と誇りにつながります。これは、社会の一員として認められる大切なステップです。

▶ 技術・品質向上への意欲

評価されることで、より良い製品をつくろうという意欲が高まり、スキルの向上にもつながります。

こうした好循環は、障害のある方たちにとって「働く喜び」や「生きがい」を生み出します。まさに、エシカル消費が社会のあり方を変える力となっているのです。


エシカル商品の価格が高いのはなぜ?

エシカルな商品は、一般的な大量生産品に比べてやや価格が高めであることもあります。それには、次のような理由があります。

  • 適正な対価の支払い:生産に関わるすべての人に、正当な賃金や工賃が支払われています。
  • こだわりの素材や手仕事:環境に配慮した素材や、手作業による製造が多く、コストがかかります。
  • 少量生産:一つひとつ丁寧に作られるため、大量生産による価格の抑制が難しいのです。

ですが、その価格には社会的な価値も含まれています。
「この商品を選ぶことで、誰かの未来を支えられる」と考えると、そこにあるのは単なる“物の値段”ではなく、“想いのこもった価値”ではないでしょうか。


「福祉×ブランド」という新しい価値のかたち

最近では、福祉施設が作る製品の中でも、アートやデザイン性を活かしたブランド商品が登場し、注目を集めています。

◉ ヘラルボニー(岩手県発)

知的障害のあるアーティストと契約し、そのアート作品をネクタイやバッグなどに展開する福祉系スタートアップ。
「障害者アート」ではなく、「アート作品」として評価されており、全国的な人気を誇ります。

ヘラルボニー公式オンラインストア

◉ たいせつプロダクト(福岡県)

障害のある人たちの描いたアートを、アパレルや雑貨として商品化。
「支援される側」ではなく、「選ばれるブランド」としての地位を確立しています。

こうした取り組みは、エシカル消費が「応援」から「共創」へと進化していることを示しています。

たいせつプロダクト公式Instagram


企業も変わる──エシカル消費がもたらすメリット

エシカル消費の広がりは、私たち消費者だけでなく、企業活動にも大きな影響を与えています。

▶ CSR(企業の社会的責任)の推進

福祉施設から製品を調達することで、企業の社会的評価やブランドイメージが向上します。

▶ 従業員のモチベーション向上

社会貢献に取り組む企業に対し、社員の誇りや帰属意識が高まり、結果として生産性や定着率にも良い影響を与えます。

▶ 多様性・インクルージョンの推進

障害のある方々と連携することで、企業文化も柔軟になり、多様な価値観を尊重する風土が育ちます。

企業にとってエシカル消費は、単なるコストではなく未来への投資とも言えるのです。


今日からできる、やさしい一歩

エシカル消費は、決して難しいことではありません。ちょっとした意識と行動で、今すぐに始めることができます。

  • 地域の福祉施設や授産製品ショップを訪ねてみる
  • 「まごころ製品」や「福祉製品 通販」で検索してみる
  • 地域イベントや福祉マルシェに参加してみる

「この商品は、誰の手で、どんな想いで作られたのだろう?」と考えること。
その小さな問いが、社会をやさしく変えていく力になります。


🌱 まとめ

私たちが日々行う「買い物」には、実は大きな力があります。
「誰かの幸せにつながるか?」という視点を持つことで、日常の選択が社会への貢献へと変わるのです。

あなたの買い物が、誰かの働く喜びを生み出す。
そんなエシカルな選択が、より豊かな社会を築く第一歩になることを、どうか忘れないでください。

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