このブログ記事は、私自身の経験に基づいた個人的な見解です。
双極症と向き合うことは、自分自身との対話にとどまらず、人との関係を見つめ直す旅でもあります。家族や友人、職場、パートナーとのつながりは心の支えになりますが、気分の波が衝突を引き起こし、関係にひびが入ることもあるのです。
私が特に大きな学びを得たのは、パートナーとの関係でした。ある時期、私とパートナーの躁状態が重なり、二人同時に精神科病院に入院する事態に至りました。自分の症状に向き合うだけでも精一杯の中で、相手の状態にも対応しなければならないという状況は、想像を超える大変さでした。
どちらかが冷静でいられればよかったのですが、感情が高ぶる中では、互いに責め合い、深く傷つけてしまうこともありました。この経験から学んだのは、「共倒れを防ぐための自己管理」の重要性です。自分を守ることは、結果的に相手を守ることにもつながる——それは冷たさではなく、深い思いやりのかたちだとではないでしょうか?
入院生活では、自分より重い症状を抱えた方々との共同生活に戸惑いもありましたが、その中で学んだのは、「自分の心の状態を客観視すること」と「他者と適切な距離を保つこと」の大切さです。これは、病気の有無に関わらず、すべての人間関係に通じる姿勢だと実感しています。
職場でも、支えられる経験がありました。体調を崩した際、上司や同僚は柔軟なシフト調整や通院への配慮をしてくれました。もちろん、周囲に負担をかけてしまう申し訳なさはありましたが、「どうすれば迷惑を最小限にできるか」を考え、早めの相談や業務の調整など、小さな工夫を積み重ねました。そのときに助けてくれた職場には感謝しかありません。
改めて思うのは、「適切な距離を取る勇気」が人間関係において非常に重要だということです。家族やパートナーであっても、相手の課題をすべて背負う必要はありません。感情の波に巻き込まれすぎず、「これは自分の問題」「これは相手の問題」と冷静に線引きすることが、健全な関係を築く鍵になります。
一方で、双極症と向き合う中で感じる孤独は、当事者同士のつながりによって和らぐことがあります。私はSNSやピアグループを通じて、同じような経験を持つ方々と出会うことができました。家族や友人がどれだけ寄り添ってくれても、病気特有の感情の振れ幅や見えない苦しみは、なかなか完全には伝わりません。同じ立場だからこそ分かり合える感情が、確かに存在します。
ただ、すべての関係がうまくいったわけではありません。あるとき、親身になってくれた友人に体調のことを相談し、アドバイスをもらったことがありました。しかし、そのアドバイスを鵜呑みにして行動した結果、かえって体調が悪化してしまったのです。友人の言葉は善意からのものでしたが、やはり専門的な知識があるわけではありませんでした。
この出来事から、「体調の問題は医師やカウンセラーに、法的な問題は弁護士に」といったように、必要な場面では専門家に相談することの重要性を痛感しました。友人の助言はあくまで参考の一つとして受け止める、その姿勢が、関係を壊さずに守る手段でもあるのだと思います。
双極症を抱えながら人と関わることは、決して簡単なことではありません。ぶつかり、傷つき、距離ができることもあるでしょう。それでも、そこから学び直し、また新たな関係を築いていくことは可能です。その一歩一歩が、私たちをより強く、そして優しくしてくれると信じています。
このブログ記事が、みなさんの人間関係を見つめ直すきっかけや、安心して過ごせる場所を探すヒントになれば幸いです。

