「うっかりミス」はなぜ起こる？ADHDの特性

「出かける直前に鍵が見つからない」「楽しみにしていた予定の日付を間違えてしまった」「必要なものを忘れて、また家に取りに戻ることに…」このような小さな「うっかりミス」が日常的に繰り返されると、時間を無駄にしたり、自己嫌悪に陥ったりするなど、日常生活に影響が出たりすることもあります。

どんなに気をつけようと思っても、なぜか大事なことほど忘れてしまうのは決してあなたの努力不足が原因ではありません。それは、ADHDの不注意やワーキングメモリの特性から生じる症状である可能性が高いのです。この特性は意識や気持ちの問題ではなく、脳の機能によるものだからこそ、「頑張る」以外の具体的な対策が必要です。

ADHDの特性と日常生活の「うっかりミス」

日常生活で頻繁に起こる「うっかりミス」は、ADHDの核となる以下の特性によって引き起こされることが多いです。まずは自分を責めず、特性を客観的に理解することが第一歩です。

特性をふまえた「生活の確認術」

ADHD特性による日常のミスを防ぐためには、「記憶に頼らない」「視覚化する」「行動をルーティン化する」の3つの対策が有効です。

1. 「忘れ物・探し物」をゼロにする仕組み

• 持ち物の定位置管理を徹底する：
  • 鍵、財布、スマートフォンなど、毎日使う必需品には必ず「定位置」を決めましょう。
  • 特に玄関やリビングなど、出入り口付近の目立つ場所に専用のフックやトレーを用意し、「帰宅したら必ずそこに戻す」ことを習慣化します。
• 「持ち物チェックリスト」を活用する：
  • 外出前や買い物前に必要な物をリスト化し、玄関などの目につく場所に貼っておきます。
  • 出発直前に、リストを指差し確認するルーティンを取り入れましょう。
• スマートタグ（紛失防止タグ）の活用：
  • よく失くすもの（鍵、財布など）にスマートタグを付けておき、万が一紛失してもアプリで場所を追跡できるようにします。
    
    
    

2. 「時間と予定」を見える化する技術

• デジタルリマインダーを徹底活用する：
  • 予定やタスクは、頭の中で覚えず、全てカレンダーアプリやリマインダーに入力します。
  • 忘れやすい用事には、「開始の1日前」「1時間前」「出発の15分前」など、複数回アラームを設定しましょう。
• 「逆算スケジュール」で準備時間を確保する：
  • 「10時に出発する」なら、「9:30に身支度完了」「9:00に朝食」など、目標時間から逆算してやるべきことを洗い出し、準備時間もスケジュールに組み込みます。
• 「すぐやる」習慣をつける：
  • 「あとでやろう」は「忘れる」ことにつながります。簡単なこと（例：保険証をカバンに入れる、ゴミをまとめる）は、気がついたその場で即座に処理する習慣をつけましょう。
    
    

3. 環境を整える「整理整頓」術

• 情報の定位置を決める：
  • 学校や病院からの重要なお知らせなどの紙類は、特定の保管場所（例：ファイルやトレー）を決め、そこから溢れないよう定期的に整理する日を設けましょう。
• 整理のハードルを下げる：
  • 完璧に片付けようとせず、「使うもの」と「使わないもの」だけを分類するなど、まずはざっくりとした整理から始めましょう。
  • 物をしまう場所は元の位置に戻しやすいよう、出し入れが簡単なオープン収納がおすすめです。

まとめ

ADHDの特性による日常生活の「うっかりミス」は、工夫と仕組み化によって減らすことができます。大切なのは、「忘れないように頑張る」という精神論に頼るのをやめ、「忘れても大丈夫な仕組み」を生活の中に築くことです。今日ご紹介した定位置管理やリマインダーの活用は、すぐにでも実践できる有効な対策です。つなぐでは、あなたが特性とうまく付き合い、自信を持って生活できるよう具体的なスキルのトレーニングや、環境調整の方法を一緒に考え、練習することができます。日々の困りごとを「どうすれば乗り越えられるか」という視点に変えて、自分らしい生活リズムを見つけませんか？お気軽にご相談ください。

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